お面に隠された「知られざる素顔」――伊東歌詞太郎インタビュー

お面に隠された「知られざる素顔」――伊東歌詞太郎インタビュー ニコニコ動画に投稿している「歌ってみた」作品の総再生数が1200万回再生を誇り、1月22日にリリースした1stフルアルバム『一意専心』がオリコン初登場4位を獲得。全国のライブイベントでも12000人を動員するなど、ネット上だけにとどまらない活躍と注目を集めているボーカリスト・伊東歌詞太郎。
 今回、トレードマークの狐のお面に隠された素顔と、歌にかける思いに迫った。


―1stフルアルバム『一意専心』リリースから2ヶ月ほど経ちましたが、反響はいかがですか?

やっぱり、発売後のイベントや握手会で「良かったです」と感想をもらえると、実感がわきますね。

―ニコニコ動画に寄せられる「コメント」の感想とは、やはり違いますか?

そうですね。これまで直接声をかけて頂く機会がなかったので、それが一番の違いですね。お母さんが娘さんと一緒に聴いてくれてるとか、意外な反響もあって嬉しいです。

―初のフルアルバムとなりましたが、コンセプトはどのようにしたんですか?

僕を知らない人にも伝わるように「名刺代わり」をイメージしました。僕が嘘偽りなく言える「歌うことが大好きなんだ」っていう気持ちや、全体を通して聴いたときに、それぞれのメロディや歌詞が一番良い形で届くように、曲順は何度も練り直しましたね。

―レコーディングはいかがでしたか?

1曲歌うごとに命を込める感じでしたね。歌っているときは、視界が狭くなって「無心」の状態になるのが一番だと思っているんですけど、その繰り返しでした。でも、全然苦労はなくて、歌い終わるたびに不思議と楽しいなと言う気持ちが湧き上がってました。「歌うことが好きなんだな」と改めて感じましたね。

―これまで「ボーカロイド曲」を中心に歌われてきましたが、歌詞太郎さんから見た魅力を教えてください

僕が「歌ってみた」で選曲する基準は「メロディの良さ」を一番に考えているんです。その点で言うと、ボーカロイド曲には本当に様々なジャンルがあって、それぞれに素晴らしいメロディがあるんですよね。

―今回は、歌詞太郎さんが作詞作曲を手掛けた「rebirthday」も収録されています。現状に苦悩を抱えながらも、前に突き進んで行く歌詞が印象的です。

「rebirthday」は、アルバムのために書いた曲です。僕の経験がすべて詰まっていて、歌詞は「挫折」がテーマになってます。人間、みんな挫折すると思うんですよね。僕自身も、どうあがいても全くダメで、起き上がるのもキツくて、でも次に進まなきゃいけない……そんな気持ちをずっと抱えながら生きてきたんです。

―歌詞太郎さんにとっての「挫折」とは何だったんですか?

僕にとっては間違いなく「バンド活動」です。以前バンドを組んで一生懸命やりましたが上手く行かなくて、解散しているんですね。でも、そういう挫折を経験してからが本当の勝負だと思うんです。どんな選択をするにしても、そこが「もう一つのスタートになる」という気持ちが込められてます。それに、僕はどんなときも歌い続けてきましたが、最後まであきらめなかった人が勝つんじゃないかって、信じてるんです。

―ファンの皆さんからの反応はいかがですか

ありがたいことに、握手会では「rebirthdayが好きです」「励まされました」と声をかけてもらうことも多いんです。でも、僕の自作曲と言うことで、皆さん気を遣って褒めてくれてるんじゃないかな……常に半信半疑ですね(笑)。

―ラストはレフティーモンスターP(現在、伊東歌詞太郎と「イトヲカシ」としても活動するボーカロイド・プロデューサー)との共作「START」ですね

最後の曲だけは「START」に決めていました。アルバムを聞き終わった後で、「何かやってみよう」って言う気持ちや、動き出すきっかけが生まれたらいいなと思ったんです。

―歌詞太郎さんが「歌ってみた」を始めたのはレフティーモンスターPさんがきっかけだったとか

そうですね。僕がバンドを解散した頃、レフティーさんから「いま何やってんの?」って、電話が来たんです。話を聞くと、向こうもバンドを解散したばかりだったので「じゃあ、今度は2人で何かやってみようか」ということになったんです。レフティーさんは、僕が中学2年生の時に初めて組んだバンドのメンバーなんですよ。

―ニコニコ動画を活動の場所にした理由はどこにあったんですか?

「いまニコニコ動画が面白いから、僕らも投稿してみるか」っていう軽いノリでしたね。今のお面も「ネットで活動するんだったら顔隠した方いいよね」ということで、Amazonで検索したとき、一番上に出たのが狐だっただけなんです(笑)。

―今回お会いして「長身でカッコいい」と思ったのですが、素顔で活動されようと思わなかったんですか?

いやいやいや、全然思わないですよ!僕の顔見たらガッカリしますから!!これ書いといてください(笑)。

―それでは、今後の目標を教えてください

僕は、自分の声で「王道の音楽」を奏でることが、ずっと昔からの夢なんです。0歳から100歳までの方が「いいね」って言ってくれる歌声でありたいなと思っています。もちろん、武道館でライブをやりたいとか、親孝行のために紅白歌合戦に出たいとかも思いますけど(笑)、それは結果でしかないと思うんですね。僕はアルバムも、動画も、ライブも、歌う時の気持ちは全然変わらないんです。これからも歌うことの楽しさや喜びを噛みしめながら、ボーカロイド曲はもちろん、オリジナル曲にも挑戦していきたいですね。


【伊東歌詞太郎 ライブ情報】
■スクールライブ~市立櫻木高校奮闘記!~
3月23日(日)なんばHatch
3月25日(火)BLUE LIVE 広島
3月27日(木)名古屋ダイアモンドホール
4月2日(水)新木場STUDIO COAST

■伊東歌詞太郎ワンマンLIVE
5月3日(土)名古屋ボトムライン
5月6日(火)梅田AKASO
5月18日(日)恵比寿リキッドルーム