【U20】競争より団結。日本のGK小島・山口・波多野。守護神たちの決意

【U20】競争より団結。日本のGK小島・山口・波多野。守護神たちの決意

U-20日本代表には3人のGKがいる。小島亨介、山口瑠伊、波多野豪。彼らはひとつのポジションを争うことになるが、それは単なる競争か、あるいは団結なのか…W杯を間近に控える守護神たちの思いに迫った。(取材・文:舩木渉【水原】)


GK3人、思いはひとつ

 U-20日本代表には3人のGKがいる。小島亨介、山口瑠伊、波多野豪。彼らはひとつのポジションを争うことになるが、それは単なる競争か、あるいは団結なのか…W杯を間近に控える守護神たちの思いに迫った。(取材・文:舩木渉【水原】)

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 GKというポジションはチームにひとつしかない。もっとも特殊かつ難しい役割と言えるだろう。

 それでもチームに1人いればよいわけではなく、多くの場合2人ないしは3人、4人のGKが必要になる。控えの選手たちにはもちろん万が一に備えること、あるいは競争を意識させることなど、様々な役割がある。

 だが、U-20日本代表ではGKの3人が一体となって、団結してW杯を乗り切ろうとしている。昨年のU-19アジア選手権などでも同世代の正GKとしてプレーしてきた小島亨介は「競争という意識より、GKのグループでチームに貢献しようと全員で話し合っています」と語る。

 残る2人のGKもこれに続く。山口瑠伊は「(明確な立ち位置は)意識していない。個人的にはないと思う」と述べ、波多野豪も「いつでも出られる準備をしている」と目の前の戦いに向けて意欲的な姿勢を見せる。

 とはいえ練習の中でGKの序列は見えてくるもの。現時点では正GKが小島、第2GKは山口、そして第3GKが波多野といったところだろうか。中でも最年長の小島が今大会にかける思いは強い。

 U-17日本代表の頃から同世代の正GKとしてゴールマウスを守り続け、昨年のU-19アジア選手権優勝にも大きく貢献。U-20日本代表メンバーの中で唯一の大学生だが、安定感抜群のプレーで信頼を獲得してきた。

 名古屋グランパスU-18出身の小島は高卒でトップチームは叶わず、他のJリーグクラブからの誘いを断って早稲田大学進学を選んだ。しかし上級生の壁は厚かった。昨年まで早稲田大のゴールマウスには後藤雅明(現湘南ベルマーレ)が君臨しており、ベンチ入りもままならない小島は2年間で関東大学リーグ戦にわずか3試合しか出場できなかった。

「自分のセーブで流れを変える」(小島)

 後藤ら上級生が卒業し、満を持して早稲田大の正GKを任されることになるはずだった矢先の4月中旬、小島は練習中に足首を負傷してしまう。「開幕前だったのですごくショックだった」というが、幸いにも重傷ではなく、U-20W杯に向けて調整を続けてきた。すでにコンディションは100%に近いという。

 いよいよ迎えるW杯。U-20世代の選手たちにとっては初めての世界の舞台だ。小島は語る。

「U-17代表のときからゴールマウスを守らせていただいて、自分の力がどれだけ勝敗を左右するか、この2年間で経験してきました。自分の調子で試合に勝てることは間違いなくあると思いますし、ピンチは絶対あるので、それをしっかり止め切って、チームの勝利に貢献するところを一番意識してやっていきたい」

 アジアの国々とは経験も実力も違うチームを相手に戦わなければならない。それゆえにGKの活躍がクローズアップされることは多くなるだろう。小島は自らのプレーで「流れを変える」と意気込む。

「ピンチは最終予選に比べて間違いなく増えるので、自分のセーブで流れを変えることがすごく大事になってくると思う。自分の落ち着きぶりでチームにも落ち着いた雰囲気をもたらすのもGKとしては大事な部分なので、自分の力でチームの雰囲気を変えるところを意識したいと思います」

 小島は早生まれのためU-20日本代表に入っているが、学年で考えればチーム最年長ということになる。キャプテンではないものの精神的なリーダーとしての自覚も芽生えている。

「試合の中でうまくいっていない選手は後ろから見ていて分かるので、そういった選手のメンタルをコントロールするのは、自分の役割として間違いなく重要になる。そこは試合の中でしっかり全体を見ながらやっていきたい」

「外からは最後の結果がどうだったかを見られている」(山口)

 大学では試合に出られない日々が続く中、世代別代表の活動でチームを離れることも多く、その度にゼロからポジション争いをしなければならなかった。それだけに今回のU-20W杯は、小島にとって一つの集大成的な意味を持つ、非常に重要な大会でもある。

「(試合に)出られなくても経験できるものは多くて、そういった意味では外から見ていても本当に(いろいろなことを)吸収できていた。(U-20W杯は)それを今出せる場なので、前面に出していきたいと思います」

 もちろん強い思いを持ってW杯に臨んでいる選手は小島だけではない。同じGKの山口の言葉は、その思いを象徴するようなものだった。

「結果を残すことが一番大事だと思うし、内容が良くても悪くても、外からは最後の結果がどうだったか、日本がどういう結果を残したのかを見られている」

 U-20W杯は中2日や中3日で試合が続く超短期決戦。万が一、何が起こるかはわからない。GKはチームの浮沈を左右する最も重要なポジションだ。U-20日本代表の3人の守護神たちは、小島を中心に一丸となって最後方からチームを鼓舞し続ける。

(取材・文:舩木渉【水原】)