結婚維持活動:ある日を境に妻を愛せなくなった夫が語る、勝手な理論

結婚維持活動:ある日を境に妻を愛せなくなった夫が語る、勝手な理論

東京の女性たちは勘違いをしているかもしれない。

結婚できれば、それでハッピーエンドだと。

だが、生活を共にし始めてからが本番だ。結婚した後は、夫婦生活を継続するための「結婚維持活動」が必要である。

ー人間は判断力の欠如によって結婚し、 忍耐力の欠如によって離婚し、 記憶力の欠如によって再婚する。

フランスの劇作家、アルマン・サラクルーの言葉のように、「結婚維持」のキーワードは果たして、忍耐なのか?

この連載では、東京で「結婚維持活動」に勤しむリアルな夫婦の姿をお届けしよう。

今週は、夫への愛がなくなったまま結婚維持活動を続ける慶子の夫、光博を取材した。




<今週の結婚維持活動に励む夫>
名前:光博
年齢:39歳
職業:大手日系化学メーカー 研究開発職
結婚生活:8年


一見マジメだけが取り柄の、無害な夫。


いえいえ、全然待ってないですよ。

僕、早く来て本を読みたかったので。

どうぞそんなに、恐縮なさらず。とりあえず、飲み物でもオーダーされたらいかがですか。

いやぁ、今読んでるこの本、凄い面白くて。渋沢栄一の「論語と算盤」これは名著ですよ!

失礼ですが、今おいくつなんですか?

27歳?いや〜、若いなぁ。いいですねぇ。

実は僕、経営にも興味があって、数年前に、MBAも取得しまして。

え?あぁ、申し訳ないです。今日は妻のことでしたね。

僕、あんまり家庭生活に重きを置いていないんですよね。というのも、僕の妻、自立してるでしょ。

で、そんなに僕を頼ろうってタイプの女性でもないですし。うちは子供もいませんし。

はぁ…。好きかどうか?かなり際どい質問だなぁ。

正直言いまして、妻に恋愛感情のようなものはありません。無くなった、といった方が正しいかな。

いつからかっていうと…とある事件があってからなんです。


光博が語る、とある事件とは


変わってしまった妻を愛せなくなった夫


そもそもそんな妻とですが、恋人時代や結婚当初からしばらくは仲が良かったんですよ。

若くて美しい、洗練された慶子と付き合えたことで、当時の私は有頂天でしたからね。友人にも自慢しましたし、デートや記念日もそりゃあ頑張りましたよ。

背伸びして、身の丈以上のレストランばかり予約したり、太っ腹だと思われたくて金に糸目はつけずに慶子を甘やかしていました。




まぁ、でもそんな風にお姫様扱いを続けていれば、当然彼女の機嫌に合わせて全てを決めなくてはいけない空気が出来上がってしまい…。

仕事のストレスも相まって、かなり疲弊したのも事実です。

いや、それでも良かったんですよ。そんな生活に疲弊しながらも、僕の方は美しい彼女のことを愛してましたから。

でもあれはいつだったかな…彼女がまだ29歳になる前のことだったと思うんですけど。

ふと帰宅すると、リビングに見たこともないオバさんがいたんです。

もちろんそれはオバさんでなく、化粧を落としてスキンケアをしていた慶子の顔だったんですが、ものすごく老け込んでいて…。

それこそ、老婆みたいに、口の横にシワがこう縦についていて、顔色も悪くて…。

服も適当なものを着ていたせいか、40歳位に見えましてね。

「俺はこんな女と結婚したのか」と愕然としました。まだ慶子は、29歳にもなっていないのに。

それからは、しばらくショックで何もやる気がおきなかったです。

彼女に対して女性としての魅力も感じなくなり、家に帰っても生気のない時期が続きました。

29歳でこれじゃあ、今後どうなるんだろうと。

当然、彼女の方は不満ですよね。それも、わかっていました。

けれど、どうしようもなかったんですよ。自分でも、老け込んだ妻を見るまで気がつかなかったんです。

自分がこんなにも、若さや外見至上主義の男だったんだってことに。


そんな夫が結婚を維持する理由とは


僕の人生は若い女性に尽くすことで完結するんです。


でも、僕自身そんな自分に嫌気がさし、どうにか妻を愛そうと努力したんですよ。

若い女性への執着を正すために、他のことに目を向けようと働きながらビジネススクールに通ったり。自分なりに、どうにか気を逸らそうと努力したんですけどね。

ですが、一度老化の片鱗を見つけてしまってから、慶子と周囲の若い女性の差ばかりが目についてしまって、ダメでした。

髪のツヤ、肌の輝き、素直さ、ある種の刹那的な雰囲気、保護欲をくすぐられる振る舞い…。

やはり若い女性の持つ色々な魅力に、抗うことは出来ませんでした。

そんな調子なので、彼女が例えば休日に、すっぴんで頑張って朝ごはんを作ってくれるとするじゃないですか。すごく頑張ってくれるのは嬉しいんですけど、僕はそんな朝ごはんを求めていたんじゃない。

若く、美しい女性と食べるならなんだって良いんです。下手したらコンビニの菓子パンだって良い。

それが僕っていう男なんです。

彼女が髪を切ろうが、どんな服を着ようが、ベースが若く美しくなければ全く意味がないんです。

自分を変えられないと気がついてからは、多少開き直って、自然と若い女性を追い求めるようになりました。

実は今、付き合ってる女性もいるんです。彼女は今、27歳。この間せがまれて、東京マリオットホテルの『ラウンジ&ダイニング G』のアフタヌーンティーに連れて行ったら、すごく喜んでくれました。




僕は年なので甘いものなんかは苦手なんですが、彼女の喜ぶ顔を見られるんだったらそんなもの、なんでもありませんよ。

でもね、いくら若くて美しい女性でも、結婚したいとは思いません。

だって、彼女たちもいずれ歳をとる。

その度に離婚だ結婚だと繰り返していれば、僕の社会的信用なんてなくなってしまいますし、そんな体力はありません。

慶子ですか?もちろん、気がついてないと思いますよ。というより、僕のことそんなに興味ないですし。

ただ、もう女性としての魅力は全く感じない慶子ですが、僕にも情はあります。

家賃や光熱費などの生活費は僕が出してやる。その分慶子は高い靴やバッグを買うことも出来ますし、女友達と海外に行ったりもできます。

あとは、病気や怪我をしたら、一番に駆けつけてやらなきゃな、とも思っていますし…。

なんていうんだろ、家族としての最低限のことはしてあげよう、とは決めているんです。

妻が僕のことをちっとも愛していないのも伝わりますが、それは自業自得かなって。

だから、彼女から離婚を切り出されないうちは、このままの状態でもいいかな、って思っています。


▶NEXT:7月25日 火曜更新予定
どうしても、夫だけでは満たされない妻の結婚維持活動


【これまでの結婚維持活動夫妻たち】
Vol.1:婚活よりも大変な、結婚生活の“維持”。その秘訣とは?
Vol.2:子供を持ちたい夫 vs 持ちたくない妻。結婚維持活動の妥結点とは?
Vol.3:余裕がある分、悩み多き専業主婦。私の存在価値を作るのは、夫ではない
Vol.4:「母親みたいな女性」と結婚したつもりの、夫の誤算と苦悩
vol.5:「住所を変えたくない」支配型の姑との窮屈な同居に耐え続ける、妻の本音
vol.6:「女に本音を言う必要ない」がポリシーの、狡猾な夫の策略
vol.7:「夫は家電のようなもの」と割り切る妻。2017年、仮面夫婦はこう進化した!