俺のものにしてやる。『青楼オペラ』の強気キスがやばい<KISSマンガ>

俺のものにしてやる。『青楼オペラ』の強気キスがやばい<KISSマンガ>

こんにちは、少女マンガマイスターの和久井香菜子です。


男性って、付きあい始めのころはとてもやさしいですよね。話もよく聞いてくれるし、なんでも許してくれて寛容だし。連絡いっぱいくれて寂しくないし。


だけどそれって性欲を満たすためなんですって。


とある女性が彼に「前はもっとマメだったし、やさしかった」と不満を述べたそうです。彼の返事は「そんなの性欲だよ」。


マンガのヒーローのようにカッコよくてやさしい男性たち。女の憧れの男性像ですが、あれって自分の欲望を満たすためにいい顔してるわけですか。もうね、夢もへったくれもありませんね。


今夜のKISSマンガ『青楼オペラ』


『青楼オペラ』は、江戸時代の吉原を舞台にした物語です。武家の娘だった茜は、自ら願って吉原へ女郎としてやってきます。


それは、両親を殺した犯人を捜すためです。15歳と若く、すぐに客を取ることにはなりませんが、彼女の健気な決心に周囲の人たちは心を打たれずにはいられません。


彼女に想いを寄せるのは、身を挺して仕える元使用人の利一、そして女郎となったことをきっかけに出会った高利貸しの若旦那、近江屋惣右助(おうみやそうすけ)。茜はこの2人にちやっほやちやっほやされて話は進みます。


茜にひたすら尽くしてくれる惣右助


特に惣右助ですよ。


江戸時代なのにザンバラ頭で髷も月代もなくて、たいへん現代風な風貌をした、見た目からして特別扱いされているキャラです。


そんな彼が、とにかくひたすら茜に尽くすんです。茜の新造出し(吉原デビューみたいなもん)と聞けばお金を出し、トラブルがあればさっと助け船を出し、陰に日向に支えまくります。それはもう、『ガラスの仮面』でマヤをあれやこれやで見守る速水さんのようです。


「俺のものにしてやる」惣右助の強気なキス


そうして茜の後ろをウロウロつけてまわったあとに、惣右助は過去に心の傷を負っていることがわかります。茜がつい共感したところ、いきなりされるのがこのキス。


思わず頬を叩く茜に、惣右助は言います。


「いつか その身も 心も 俺のものにしてやる」


ギャーっ! 言われてみたい、そんな強気発言!!


にもかかわらずですよ、それから惣右助はまったく茜に手を出さないんです。チャンスはいっぱいあるんです。彼女と同じお布団でお泊まりもするんです。なのにキス以上のことはしてきません。


廓の決まりがあることも理由かもしれませんが、そんなものは破っちゃえばいいんです。そして惣右助は相変わらず、茜のためにせっせと心を尽くしてくれるんです。


ねえ、惣右助は性欲ないの?


世の男性たちが性欲のために女をチヤホヤするっていうのに、惣右助のやさしさや茜に対する想いは、完全に無償の愛っぽいんです。ねえ惣右助、あなたは茜にニョロっとすることがないんですか……?


なんて……なんて……。


なんて羨ましい!!


少女マンガ脳的には、キスはゴールですよね。その先は別にいりません。でも男性脳的には、キスはゴールに至るための通過儀礼のようなものです。


ここに男女のすれちがいが起こるわけですよ!


通過儀礼じゃないキスがほしい!


惣右助は茜にチュッチュチュッチュチュッチュチュッチュするのに、なんならキスまでは無理やりするのに、そのさきは無理強いしません。


誰かにこんな風に一途に思われたいし、通過儀礼じゃない、愛情表現としてのキス をチュッチュしてほしい。


吉原という男の極楽を舞台にして、なんとまあ夢のあるお話でしょうか。


自分を強く思う人からの無理やりキス、全少女マンガ脳の憧れですよね!


(監修・文:和久井香菜子、イラスト:菜々子)


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