幼なじみの概念をぶち壊された「アホガール」監督&脚本家対談

幼なじみの概念をぶち壊された「アホガール」監督&脚本家対談ニコニコアンケートの「あなたが決める!この夏、いちばん面白かったアニメ」で1位に選ばれたTVアニメ「アホガール」。

思考と行動のほぼすべてが「アホ」な女子高生の花畑よしこを中心としたギャグアニメで、ヒロユキ氏による原作は「別冊少年マガジン」に連載中。

10月から3か月連続刊行中の単行本特装版には、TVアニメのDVDが同梱されており、11月9日には第11巻(TVアニメ第5話〜8話を収録)も発売されたばかりだ。



そこで、本作で監督デビューを果たした玉木慎吾監督と、シリーズ構成と全話の脚本を担当したあおしまたかし氏にインタビュー。

本作における2人の具体的な作業内容から話を聞いた。



初監督作品なので、攻めていこうと思った



玉木 監督と言っても、作品や人によってやることは違うかもしれません。僕の場合、この作品では、演出、作画、色彩、背景、撮影、編集など、それぞれのセクションの担当の方々に、この作品のやりたいことを示していき、その責任を持つ。そういう立場だと思ってやっていました。

あおしま シリーズ構成とは、簡単に言えば、各話ごとにどんな話にするのかを割り振っていく仕事です。今回で言えば、原作が4コマ漫画などの短いネタの作品なので、1本の中に、どのネタを何本入れるかを12話分考えました。普段だったら、そこから各話の脚本を他の脚本家さんにもお願いしていくのですが、今回は全12本の脚本を自分で書きました。原作を最初に読ませて頂いた時、ヒロユキ先生は、また変な主人公を産みだしたんだなと思いました。しかも、変なのが男の子ではなく女の子で、想像以上のアホ。幼なじみの概念をぶち壊されました(笑)。ただ、本人はそのことを何とも思っていないのが良いんですよね。あんまりアホすぎると、笑うと悪いような気もしてしまうのですが、前向きなアホだったので、笑っても全然平気。楽しく読ませて頂きました。

玉木 僕も、ほぼ同じ印象になりますが、これはアニメーションにしたら、面白い作品になるだろうなと思いました。だから、アニメ化にあたっては、とにかく原作の雰囲気を大事にすることを考えました。

あおしま あとは、ブレーキを踏まない。

玉木 そうでしたね。初めて監督をやらせてもらうからにはやれることは全部やりたいと思っていたので、攻めて行こう。本当にやばい時には、誰か周りの大人が止めてくれるだろうという話はしていました。

あおしま でも、意外と止めてくれなかったので、自分から「これで良いんですか?」と確認したりしました。



大事にしたのは原作の持つテンポ感



あおしま シリーズ構成を作る時にはすごく悩みました。原作がショートエピソードの作品なので、いろいろ組み合わせられそうではあるのですが、このネタを入れたいけど、そのためには、それに繋がる別のネタも入れなくては成立しないといった条件もあって。

玉木 泣く泣く、無くしちゃった話数もありましたね。

あおしま やりたいネタを全部やると12本には収まらないので。各話ごとにどのキャラをピックアップするか決めて、1話ごとに新キャラを増やしていくようなペースで構成しました。海水浴など季節のネタもやりつつ組んでいったら、春に始まり春に終わる綺麗な形になったかなと思います。

玉木 入れたかったけど入れるのが難しかったネタと言えば、放送コードに引っかかりそうなネタもそうですよね(笑)。

あおしま 下ネタ系は難しかったですね。ブレーキはかけないつもりでしたが、最終的に変えざるを得なかったネタもありました。「ヒロユキ先生はそういう作風なので、そこも大事なんです」と主張したりもしたのですが(笑)。

玉木 放送できないと意味がないってことになって……。

あおしま あと、1話につき4本くらいのネタを入れたので、さすがに原作のままだと、15分に収まらない。そこも泣く泣く圧縮をかけてはいます。でも、なるべく原作のテンポ感は崩さないようにしたかったので、調整には試行錯誤しました。4コマの中の1つのコマを抜いたり、セリフを抜いたりして。逆に間を埋めるためにセリフを足したりもしています。

玉木 でも正直、15分の番組で良かったなと思います。始まったと思ったら、あっと言う間にエンディングになりました、という感じにできたので。

あおしま 30分だともうちょっとまったりしたテンポになって、この面白さは出なかったと思います。

玉木 コンテを他の演出家さんに発注する際も、原作のテンポ感は大事にして欲しいと伝えていました。当然、自分で描く時も大事にしたポイントです。映像や演出に関して言えば、とにかく分かりやすい画面にしたいと思っていました。バラエティ番組などで、「ここが面白いところです」と示すためにテロップが入るのと同じ感覚で、集中線を入れたり、キャラの色を変えたりして、「ここが笑いどころですよ」と提示するようにしています。カメラがドーンと寄ったり引いたりという画面の動きも多用しました。



よしこは、アホだけど頭は悪くないところが魅力



玉木 よしこって、黙って立っていたら普通に可愛い子だと思うんです。でも、この作品の場合、そうなってはいけないので、なるべく普通の可愛い子には見えないようにすることと、エロく見えないことを特に意識しました。ただ、これが意外と難しくて……。パンツ1枚で寝ている状態を映像にしたりするので、エロく見えないようにできているのか心配だったんです。でも、放送後、観て下さった方から「誰得?」といった感想やコメントがあったので、良い感じにできたのかなと思っています。

あおしま よしこは、子供のまま成長してしまったような子ですが、意外なところでシビアなことを言い出して、周りの人を論破したりもする。アホで勉強もできないけれど、頭は悪くないところが魅力だと思います。あと、意識したのは、原作のキャラクターを変にいじらないこと。これは、よしこに限らずですが、この作品のキャラクターは原作ですでに完成されているんですよね。だから、キャラクター性には一切手を出さず、原作をトレースするような気持ちで書きました。



玉木 よしこは、観ている側がイラッとしたりもするキャラクターですが、それによって嫌われてはいけないキャラクターでもあるので、そこのバランスを上手く演じて下さる方にお願いしたかったんです。オーディションの結果、満場一致で悠木碧さんにお願いしようということになりました。イメージどおりというか、良い感じでムカつくお芝居でしたよね(笑)。

あおしま 僕はオーディションやアフレコなどには行けなかったのですが、放送を観た時、リアルよしこがいるなと思いました。原作と寸分違わぬよしこで、ウザ可愛さが素晴らしかったです(笑)。

玉木 悠木さんはスイッチの切り替えがすごくて。こちらからの要望などを伝えたりすると、「分かりました」と言った次の瞬間にはよしこになって、あの芝居をしてくれる。改めてプロってすごいなと思いましたね。

(丸本大輔)



(後編に続く)