夫婦別姓、現行法ではこんなにも大変 事実婚だと父親に親権なし、旧姓使用ができない職場も

夫婦別姓、現行法ではこんなにも大変 事実婚だと父親に親権なし、旧姓使用ができない職場も

サイボウズの青野慶久社長(46)ら2人が、日本人同士の結婚だと夫婦別姓を選べないのは憲法違反だとして、東京地裁に提訴するという。11月上旬に報じられた。


現在、夫婦で別姓を名乗ることはできないが、旧姓に愛着がある、仕事上の不利益があるといった理由で、姓を変えたくない人は現状ではどうしているのか。情報サイト「夫婦別姓.COM」管理人で、自身も事実婚を選択した行政書士の水口尚亮さんに聞いた。


「事実婚だと相手が浮気をしても慰謝料を請求できない」



多くの人がとっているのが婚姻届けは普通に提出し、職場や日常生活では旧姓を使うという方法だ。しかし水口さんによると、


「普段、旧姓を名乗るとしても、運転免許証や健康保険証では戸籍上の氏名を使わざるを得ません。不動産や飲食関係の許認可も本名しか使えません」


といった問題があるという。


そもそも、職場によっては、旧姓の使用ができないこともある。労務行政研究所が2013年に上場企業や大規模企業を調査したところ、旧姓の使用を認める企業は65.4%に留まっていた。


最初から籍を入れずに事実婚という方法もあるが、こちらはデメリットが多いという。


「この場合は、配偶者控除が受けられない、入院した時に親族扱いしてもらえないといった問題があります。またもし仮にどちらかが浮気をした場合、相手に慰謝料の請求をすることができません。法律上は、同居している恋人と同じようにしか捉えられないからです」


また子どもは、母親を筆頭者とする新しい戸籍に編成されるが、父親が「認知届」を出さない限り、戸籍に父親が記載されない。その上、「認知届」を出しても親権は母親にしかない。


「子どもを認知しても、父親には親権がないため、子どもの銀行口座の開設や役所の手続き、予防接種の同意などはできません。母親から父親に親権を移す方法はありますが、法律婚のように父母が揃って親権を持つことはできないんです」


「自分の名前を自由に決められないのは自己決定権を侵害されているのではないか」


事実婚のカップルも、法律婚のカップルと同じような権利・義務関係を築けるよう、水口さんは「準婚姻契約書」作成のサービスを提供している。


「浮気はしない、子どもが産まれたら認知する、生活費を扶助するといった契約をするんです。守らない場合は、契約解除、要するに『離婚』ということになりますが、この時、財産はどのように分けるのかといったことも予め決めることができます。ただし配偶者控除が受けられないといった問題は解消できません。法律婚と100%同じにはならないんです」


「夫婦別姓基本プラン」なら、実費と報酬15万円で作成してもらうことができる。さらに、パートナーを任意後見人にする「任意後見プラン」も用意している。


しかし、別姓が認められていないがために、法律婚を選択しなければ不利益を被ることに変わりはない。早く法律婚でも夫婦別姓が認められるべきだろう。


水口さんは、「不利益があるから、というよりも、どういう名前を名乗るのか自分で決めらないというのは自己決定権を侵害されているのではないか」と自己決定権の観点からも夫婦別姓が必要だと語っていた。